

大学卒業後、高齢者施設で相談員として勤務。現在は社会福祉士養成校で教員を務める。また、新潟県社会福祉士会の人材育成・スーパービジョン支援班の担当理事として、後進育成や専門職の能力向上に取り組んでいる。趣味はラーメンの食べ歩きとバイク。
淑徳大学社会学部社会福祉学科卒業後一般企業に就職。その後南魚沼福祉会にて知的障がい者入所更生施設、相談事業所勤務後、平成28年より社会福祉法人みんなでいきるに移籍、現在に至る。その後、相談支援事業所で「本人の人生は本人のもの」という考えを軸に相談支援に取り組む。一般社団法人新潟県相談支援専門員協会代表理事。
今日はよろしくお願いします。まずは、江部さんの福祉への道の始まりをお聞かせください。
福祉に興味を持ち始めていた頃に、社会福祉法人南魚沼福祉会が障がい者施設と特別養護老人ホームの事業を始めるという話を聞いて、「あ、社会福祉主事の任用資格を持ってるから、採用してもらえるかも。」って思って(笑)。それまでは、一般企業で営業職をやっていました。
福祉で働いている人って、そういう自然な流れに導かれて頑張っている方が多いような気がします。江部さんにとっても、それが自然な流れだったんだろうなって思います。
福祉の現場で必要とされるスタッフになりたいけれども、飛び出すような人間にはなりたくないという感覚を持って仕事をしていました。真面目に一生懸命やって、自分の居場所をちゃんと作ろうっていう気持ちで取り組んでいました。

『飛び出したくない』っていうのはどんな感覚でしょうか?
目立つようなことをして、叩かれたくないという気持ちです。組織の歯車でいいから、きちんとした仕事をしたかったんです。大学を出て就職をするときは、カリスマ的サラリーマンみたいなものに憧れていたこともあります。でも、俺は24時間365日を仕事に捧げられるかっていうと、そんなことは無理だなって思いもあって。
仕事ってキャリアを積んだり、慣れてくると見える世界が変わりますよね。江部さんの場合はどうでしたか?
3年目に職場の副主任になったんですよ。それまでは、利用者さんの心、その向こう側にある本心というのが見えていなかった。そういうものに気がついたら、急に心がモヤモヤし始めました。「こんな仕事はありえんだろう。」っていう思いが強くなってきたときに、施設の中が急にモノクロに見え始めたんです。「これはよくない!!改善が必要だ!!」って思い始めた時期です。
『飛び出さない』という考えから飛躍したんですね。
ある研修で講師の方が「理想なき支援者は去れ!!」って言ったんですよね。その言葉に大きな感銘を受けました。もやもやしていた時期だったので、その言葉がものすごいドストライクな響きとして心に突き刺さったんですね。そこから、施設内の環境改善とか、利用者さんとの適切な距離感の取り方みたいな基本的な話し合いを職員と始めました。

飛び出してみたらどうでした?
今まで自分がやってたことの浅はかさとか情けなさとか、それに対しての贖罪みたいな気持ちが大きくなりました。それから、施設外就労とか地域とのつながりの構築みたいな動きの実践を始めたんです。利用者さんが施設外で仕事を頑張ってくることによって、それを話題として職員と会話が生まれるんですよ。そんなことをやっているうちに、利用者さんと職員との関係が良くなっていくのを目の当たりにしました。そして、利用者さんが施設外に出ることによって、地域も変わるんですよね。
施設からのアクションとして、利用者さんの施設外での就労を促進することや地域の人に福祉の活動を知ってもらうことは大切ですよね。そんな地域づくり的な視点を持ち始めたら、徐々に現状が窮屈に感じるようになってきて、地域包括支援センターに飛び出したという感じですか?
モノクロに見えてしまう景色をなんとかカラーに変えようと努めてきました。でも、それを実現するためには、施設の中だけに限定されていては無理かなと思ったりもしていて・・・。なので、活動範囲を広げないといけないとは思っていました。そんなことを考えているときに、障がいの相談支援センターが立ち上がるという流れになって、うちの法人もその運営に乗り出すことになったんです。すぐに「異動させて下さい。」と手を挙げました
そこで、新しく見えてきた景色はどんなものでしたか?
相談支援の領域ではルーティーンがない。そして、自分の力量で仕事を進めていくことができることを実感しました。当時の上司が、「自分がやることの全てが、利用者さんの幸せに直結するということは、支援者の心も健康にしてくれる。」って言っていました。「確かにそうだな」と思いました。
その人の背景とか、見えているであろう景色や未来とか、人の捉え方が変わった?
その人が抱える課題っていうのは、過去からずっと続いている人生の中で起きているっていうことを考えたときに、ある程度、その人の過去を知っていないとダメだなっていうのは感じます。だから、自分が話すよりは、どうすれば利用者さんの本心に辿り着けるかということを考えながら話を聴けるようにはなりました。

これからの目標のようなものはありますか?
障がい福祉サービスの利用を希望している方がいたら待たせない相談体制を構築したいと思っています。今、それができないのは、相談支援専門員が少ないのか、それに対応する技術がないのか、あるいは、事務量が多過ぎるのかっていうことをもう少し精査しなきゃいけない。でも、仕事を標準化するっていうのが非常に難しい。全体的な業務量は減らさないといけないとは思っています。
若い社会福祉士やこれから福祉を目指す人にメッセージはありますか?
社会福祉に従事するのであれば、あまり専門性に拘り過ぎない方がいいだろうって思います。高齢分野でも、障がい分野、困窮者支援、就労支援でも、特定の狭い分野に特化するのではなく、色んなことを体験してみて、これが自分には向いているんじゃないかっていうのを見つけて欲しいと思っています。
今後、社会福祉や福祉の分野がどうなることで働く人が増えると思いますか?
やっぱり、人って面白いことに集まるんだと思います。でも、自分一人が面白いだけじゃダメで、みんなが面白いと思えて、みんながハッピーになるよねっていうことが大事。福祉ってネガティブな面で捉えられることが多い。でも、「人を支援するって楽しいよね。」っていうことを広げられるといいんじゃないでしょうか。
まずは福祉に興味を持ってもらうことですよね。仕事がキツイとか大変なことが多いという側面だけではなくて、福祉の現場で実践されている仕事や人を知ってもらうことが全体の理解につながりますよね。
福祉の現場や困っている人に注目しちゃダメっていう価値観が差別や偏見を助長するんだと思います。現場やそこで働く人を目にして、興味を持ってもらうことが大事。人に見てもらって、やっぱり福祉って大切なことなんだねって思っていただけるといいですね!!